人間は独りでは生きていけません。味方となる家族や恋人、友人の存在が、大きな力となります。しかし他人との暮らしには、ストレスやトラブルもつきものです。高橋先生は「人工物であるロボットでも、外見や発話内容によって実在の仲間のように感じられる」といった近年の心理学や神経科学の研究成果に着目。自分にとっての「味方」と感じさせるロボットの外見や動き、知能や感情、学習機能について、情報工学と心理学などを組合せた研究を進めています。
高橋研究室では「愛着を抱かせるロボットとは?」「ロボットは家族や恋人になれる?」などについて考えるとともに、検証に向けた様々なロボットを創出。例えば大阪・関西万博の際には「入院中の子どもたちが自作キャラをアバター化したぬいぐるみロボットを介して万博会場に遠隔で参加し、来場者と交流を図って思い出を作る」といった、江戸時代の「伊勢参り犬※」の逸話をモデルとした試みを成功させました。他にも、かわいい動きや対話とともに家電機器を制御するスイッチロボットの開発、ご当地アイドルキャラのパペットロボット化など、数多くのユニークな取り組みが見られます。※伊勢参り犬:江戸時代に病気などで伊勢神宮へ行けない飼い主の代わりに、犬が自ら伊勢神宮へ参拝しに行った忠実な犬。
ロボット研究には、AIの進化が大きく寄与しています。ただ、AIが「人間に代わって課題を解く存在」であることに対し、高橋先生が追究しているのは「人間が自ら課題を解こうとする意思を支え、力を引き出すパートナー」となるロボット。情報工学や機械工学、そして心理学・認知科学・社会学など、多様な学問分野を横断しながらの「ここでしかできない研究」が、あなたを待っています。そしてこの研究の先に、人間の絶対的な「味方」となるロボットが孤独を打ち消し、結果として他人に忖度しない人々の心が集まり、新しい未来社会が築かれることを、高橋先生は心より願っています。

理工学部
情報工学科
高橋 英之 先生
博士(情報科学)。北海道大学大学院 情報科学研究科 博士課程修了。急速に進化し続けるアメリカや中国のロボット技術に対し、「ロボットに親しみを感じるアニメや漫画が多い、日本ならではの文化を反映させたロボットを」といった想いを抱き、現在の研究へ。ロボット工学の分野で名高い大阪大学・石黒浩教授のもとで特任准教授を務め、大阪・関西万博ではプロデューサーとして活躍。ATR深層インタラクション総合研究所 客員研究員。情報処理学会 山下記念研究賞、日本認知科学会 野島久雄賞など受賞。