OIDAI理工ラボ

未来を創る、追大理工学部

追手門学院大学
機械工学科

目に見えない「熱流動」を仮想空間に再現して解析。地球環境に優しい「ものづくり」への貢献をめざして。

須賀 ⼀彦 先生

空気や水などの「流体」のなかで移動する「熱」の動きを、コンピューターシミュレーションによって捉え、仮想空間に目に見える形で再現して議論する研究に取り組む須賀先生。近年、研究対象としているのが「多孔体」という多数の穴が開いた材料。多孔体の周囲の熱の動きを解析し、その特性を最大限に引き出す構造を追究することで、自動車や航空機、電子機器などの様々な「ものづくり」への応用から、省エネや地球環境への貢献をめざしています。

「多孔体」に秘められた新たな可能性を確かめるために

ノーベル化学賞で話題となった「多孔性金属錯体」はナノレベルの穴を多数持つ多孔体であり、もっと大きなものでは、私たちが日常使っているスポンジも多孔体です。最先端の研究では、この多孔体に「周辺を流れる空気や水の抵抗を下げ、熱の伝達を上げる、といった特性を持たせることができるのでは?」といった可能性の検証が進められています。従来、流体の抵抗の上昇と熱の伝達の上昇は比例関係にあるため、その逆の関係が実現できればものすごく画期的なこと。飛行機や自動車の燃費向上、ラジエーターやPCの放熱など、省エネや環境保全に繋がる様々な応用が期待されます。

複雑なシミュレーションも最新コンピュータを駆使して

「どのような構造や条件によって、この特性を多孔体から引き出すことができるか?」が、須賀先生の現在の最重要テーマ。有望条件を絞りつつ、シミュレーションを繰り返しながら、立証を進めています。現物を試作せず、次々と条件を変えて試行錯誤を重ねられるのが、コンピューターシミュレーションの強み。目に見えない熱の動きをアニメーションで再現し、「条件がどう変われば、熱の流れがどう変わるか」をリアルに可視化する技術は、見ていてワクワクする人も多いでしょう。東京科学大学との連携により、スーパーコンピュータ『TSUBAME』を使ったかなり複雑で大規模なシミュレーションにも、この研究室で挑戦できます。

理工学部
機械工学科
須賀 ⼀彦 先生

Doctor of Philosophy(機械工学)。マンチェスター科学技術大学(現・マンチェスター大学)大学院 工学研究科 機械工学 博士課程修了。高校生の頃から航空機をつくる技術に興味を持ち、機械工学の道へ。イギリス留学時に航空機メーカーとの共同研究チームでジェットエンジンの流動の研究に携わり、以降、流体のシミュレーションを専門としてきた。その後、トヨタの研究所での勤務を経て、教育の場へ。文部科学大臣表彰 科学技術賞(2008年度)、日本機械学会熱工学部門 研究功績賞(2023年度)など、その研究活動に多くの高い評価を得ており、 2025年に日本機械学会名誉員に選出。