OIDAI理工ラボ

未来を創る、追大理工学部

追手門学院大学
電気電子工学科

現代の情報通信を支える光ファイバ。新構造の実用化に向けて課題と向き合う。

久保田 寛和 先生

「電気電子工学」といえばパソコンがまず思い浮かぶかもしれませんが、テレビや洗濯機などのいわゆる家電製品は、みんな電気電子工学が関わっています。生活を便利にするための、とても身近な学問なのです。その中で、久保田先生が研究しているのは光通信工学。特に光ファイバと呼ばれる伝送媒体を使った通信技術です。スマホで映画を見る、ビデオチャットで話すなど、情報通信が活かされるシーンが広がるにつれ、「より速く」「容量を大きく」と技術革新も繰り返されています。

現在の仕様の光ファイバは、すでに限界が見えている

通信用の光ファイバは、1ミクロンほどの厚さの石英ガラス※でできています。銅のケーブルに比べるとコストが安く、性能も格段に良いため、世界中の光ファイバを1本につなげると地球を10万周以上するほどの長さが使われています。「何でも無線の時代に、光ファイバは必要ないのでは」と思うかもしれませんが、現在もアンテナから先は光ファイバで伝送しています。光ファイバとは、人間で言う血管のように、社会全体に網のように広がり、澱みなく情報を伝達しているのです。しかし近年、スマホの普及やIoT家電の登場など、通信を必要とするモノが増えたことにより、従来の通信技術では社会を支えきれなくなってきています。例えば、観光地など人がたくさん集まる場所や、災害時のような同時刻に大量の通信が起きた時などに、スマホがネットに繋がりにくくなるという障害が起きたりします。そこで久保田先生が取り組んでいるのが「中空光ファイバ」の実用化です。※石英ガラス:高い純度により、紫外線から赤外線までの幅広い光を透過し、優れた耐熱性、耐薬品性、低い熱膨張率を持つガラス。

瞬時に膨大な量の情報を伝送できる中空コアファイバ

中空コアファイバはストローのような構造で、従来の光ファイバーの限界を超える次世代技術として、いま世界中で研究が進んでいます。久保田先生は、中を空気にすることで、石英ガラスが詰まったところを通すよりも光の信号を速く伝えられることを数値解析によって確認。現在は、通信容量をさらに拡大するための研究を行っています。どうすれば光が漏れにくくなるのか、信号を受け取る側の負荷を少なくするには…など課題はたくさんありますが、実用化されれば、一度に送れる情報量がグッと増えることになります。みなさんの生活がより便利に、より安全になる社会とは、こうした技術の発展が支えているのです。

理工学部
電気電子工学科
久保田 寛和 先生

博士(工学)。大阪大学 理学研究科 物理学専攻 博士前期課程修了。大阪大学の大学院を卒業後、NTTに入社し、光ネットワークシステム研究所に勤務。社会人2年目で、論文により東京大学で博士の学位を取得。研究所では光ソリトンを利用した超高速長距離通信技術の研究などに従事し、この経験が現在の研究にまでつながっている。久保田研究室では、情報通信分野の歴史についてのテキスト輪読から始め、学生の希望によって通信技術や光ファイバといった自身の研究テーマを決められる。