大学院案内

2025年度学生募集

心理学研究科の目標と特徴

心理学研究科心理学専攻では、心理学の専門資格を有して心理職として活躍できる高度専門職業人や、知識基盤社会を支える心理学および情報科学の幅広い専門的知識を有する教養人、および将来研究者となるための人材を育成することを目標として、下記1.~ 10.のような特徴を持つ教育を行います。

博士前期課程では臨床心理学コース、生涯発達・生涯教育心理学コース、社会・犯罪心理学コース、人工知能・認知科学コースの4コースを設けて、実社会に通じる心理学および情報科学の高品質で高度な専門教育を実施します。博士後期課程では認知・脳科学領域研究部門、発達心理学・発達支援領域研究部門、社会心理学・集団力学領域研究部門を設けて、より高度な専門性を備えて先端的な心理学研究に従事することのできる人材を育てます。

  1. 社会のニーズに応えるために、幅広い心理学および情報科学の領域を備えた大学院博士前期課程/博士後期課程である。
  2. 担当教員数が多く、院生の研究したい領域に応えることができる。
  3. 公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士、学校心理士などの資格取得に応えるカリキュラム構成である。
  4. 院生中心の教育をもとに、個人の学びに応じた心理学および情報科学の専門教育を実施している。
  5. 心理学および情報科学の研究や実習のために充実した学内施設を持っている。
  6. 院生と教員との距離が近く、アカデミックアドバイザーとして充実した学修の支援を行っている。
  7. 充実した学外連携施設での実習を確保している。
  8. 懇切丁寧に研究を指導し、学位論文の執筆を強力に支援している。
  9. 支援法に関する現実場面で役に立つ、理論に基づいた実践的授業を実施している。
  10. 授業料減免措置などで社会人に広く門戸を開いている。

求める人材像

  1. 心理学について強い問題意識を持ち、高度な心理学の専門知識・技能を備えた職業人をめざす人
  2. 生涯にわたり学習しようとする意欲を持ち、多様な心理学的事象に関して社会に貢献しようとする熱意を有する人
  3. 専門研究者をめざし、心理学の各分野の実証的研究をふまえて、多角的・総合的視点から研究を行うのに適した資質を持つ人

博士前期課程

コース紹介

臨床心理学コース

臨床心理学コースは日本臨床心理士資格認定協会第1種指定校として認定を受けています。臨床心理学の研究者養成とともに、心理臨床の専門的知識と技能を用いて心理的問題に関わり援助するための高度専門職養成という2方向を見据えた教育を実施しています。

修士論文のテーマ

2023年度

修士論文題目
空想傾向がポジティブに働くための環境要因の検討
就職活動終了後における大学生の就職不安低減要因について
非行形態による関連要因の比較-非行傾向行為とインターネット逸脱行為-
青年期における援助要請の発達
大学生の無気力感に友人からのソーシャルサポートがもたらす影響-自己効力感を媒介として-
児童虐待認識の文化的影響-日韓の大学生における国際比較-
マインドフルネスによるネガティブな反すうの軽減と睡眠の質の向上に関する試み
日常におけるフォーカシング的態度がSense of Coherence(SOC)に及ぼす影響-クリアリング・ア・スペースの実践から-
心理的居場所感がキャリアアダプタビリティに及ぼす影響
ゲーム利用者の心理的居場所感,自我同一性が主観的幸福感へ及ぼす影響
ワーキングメモリと感情制御がインターネット・ゲーム依存傾向に与える影響の検討
青年期における抑うつの予防的介入の効果と自己注目の関連の検討-適応的な自己注目の観点から-
大学生におけるパーソナリティと適応の関連について-自己受容と他者受容の関連から-

生涯発達・生涯教育心理学コース

高度な心理学的専門知識をもとに臨床発達心理士、学校心理士の受験資格を取得し、社会の中で訓練された専門職業人として活躍することをめざすとともに、知識基盤社会を支えるために専門的な認知・脳科学、発達心理学、教育心理学の知識を持った教養人の養成、および研究者の育成を目標としてカリキュラムを構成しています。

修士論文のテーマ

2023年度

修士論文題目
困難状況の克服と自己成長に関する心理学的考察-レジリエンス及び生き方受容の観点から-
現代青年の人間関係構築に関する研究-ふれあい恐怖的心性と対人的傷つきやすさ及び親和動機の関連から-

社会・犯罪心理学コース

知識基盤社会を支える高度な心理学の専門的知識を持った教養人の育成をするとともに、社会心理学や犯罪心理学の研究者の育成をめざしてカリキュラムを整備しました。実社会の様々な現場で生じている諸問題に対して専門的知識をもとに解決策を提案し、自ら実践する専門家を育てることを目標としています。

修士論文のテーマ

2023年度

修士論文題目
異なる強度の表現語で表された痛みの感じ方に及ぼす攻撃性の影響
学習動機づけと学習行動の関連-達成目標理論・自己決定理論と学習の習慣化に着目して-

人工知能・認知科学コース

人間と機械の知能、情報処理に関する深い知識と高い実務能力を持つ研究者や高度な専門職業人を育成することを目指します。社会実装や学術的な貢献を通じて、人間と人工知能が調和した社会の発展に寄与することを目指します。複雑な人間と社会の課題に対応するために、人工知能や認知科学などの情報科学領域の知識やスキルを持つ人材の育成を目指すカリキュラムを提供しています。

取得できる資格

公認心理師と臨床心理士、臨床発達心理士、
学校心理士の受験資格取得が可能

博士前期課程の「臨床心理学コース」は、日本臨床心理士資格認定協会第1種指定校の認定を受けています。

臨床心理学コースでは公認心理師と臨床心理士の受験資格の取得が可能です。

生涯発達・生涯教育心理学コースでは公認心理師に加えて、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)と学校心理士(学校心理士認定運営機構)の受験資格取得が可能です。

社会・犯罪心理学コースでは、「公認心理師」の受験資格の取得はできないものの、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)、学校心理士(学校心理士認定運営機構)の受験資格取得を可能にする科目を履修できます。さらに、司法・矯正及び更生保護の各現場で活躍できる専門家あるいは研究者の育成に取り組んでいます。

公認心理師について

万全のカリキュラム、経験豊富な教員のサポート

心理学研究科では国家資格である公認心理師の養成に万全の体制で臨みます。国家試験の受験資格を得るためには学部で25科目、大学院で10科目を修める必要がありますが、本学では学部・大学院ともにこれら全ての科目が履修できるカリキュラムを提供しています。また、これらの科目のうち学部の「心理実習」では80時間以上の実習が、大学院の「心理実践実習」では450時間以上の実習がそれぞれ必要ですが、どちらも経験豊富な教員による十分なサポートが受けられます。

臨床心理学コースと生涯発達・生涯教育心理学コースで「公認心理師」受験資格の取得が可能

大学院心理学研究科臨床心理学コースはこれまで日本臨床心理士資格認定協会第1種指定校として臨床心理士の養成に努めてきましたが、2018年度以降は臨床心理学コースで学ぶことで臨床心理士に加えて公認心理師の受験資格取得が可能になっています。また、生涯発達・生涯教育心理学コースでは公認心理師に加えて、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)と学校心理士(学校心理士認定運営機構)の受験資格取得を可能にする科目を配置しています。

カリキュラム・資格取得支援

臨床心理学コース

臨床心理学コースは日本臨床心理士資格認定協会第1種指定校として認定を受けています。加えて、公認心理師(国家資格)の受験資格を満たしたカリキュラムを2018年4月から提供します。本コースでは、国家資格として必要となる医療・福祉・教育・司法・産業の5領域での外部実習および附属心の相談室でのケース実習を用意しています。公認心理師カリキュラムで規定されている実習・演習時間は450時間ですが、本コースでは臨床心理士としての実習も重視し、3ケース以上の担当、臨床心理士による面接の陪席、学外スーパーヴィジョン等の時間を加え、計700時間以上の実習・演習カリキュラムを用意しています。また、来談者中心療法、精神分析・分析心理学、認知行動療法の3技法の関わり方や実践例を深く、バランスよく学べるよう、その技法を用いて臨床実践を行っている教員の講義時間を多めに設置しています。本コースでは、心理学の基礎知識や技能を臨床実践に応用できる公認心理師の国家資格取得を目指すのみならず、心理臨床家として必要となる高度な心理療法技法や臨床心理アセスメント能力の育成を目的としたカリキュラムが用意されています。

生涯発達・生涯教育心理学コース

生涯発達・生涯教育心理学コースでは、国家資格である公認心理師受験資格に対応するカリキュラムを、臨床発達支援や学校教育の場で活躍できる専門家を育成する立場から充実させています。公認心理師の資格取得に備えるだけはなく、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)、学校心理士(学校心理士認定運営機構)の資格取得を可能にする科目を、当該領域の高度な心理学的専門知識・技術を修得できるよう配置し、修了者が「生涯にわたる発達や教育に強い」専門職業人として活躍することをめざしています。各資格の取得に必要な実習については、学外の保健医療、福祉、教育およびその他関連施設と提携して実施でき、コース教員が携わっている認知・脳神経科学研究領域、発達心理学・発達支援研究領域、教育・学校心理学研究領域の基礎研究の確かな学的基盤に基づいた実践を、臨床発達や学校教育の場で展開するための方法論を学びます。高度な分析・実務能力を備え、臨床実践で直面する問題の解決を図りながら、人々の健やかな発達と暮らしを実現する社会の発展にむけて貢献できることが私たちの願いです。そのために多様性を尊重し、他者と繋がって生きること、創造性や人間的教養を有する市民であることに向けた学びも追求していきます。

社会・犯罪心理学コース

社会・犯罪心理学コースでは、社会心理学、対人行動学、集団力学、犯罪心理学の高度な専門的知識と最新の実証的研究手法を身につけた専門性の高い人材を育成することをめざしています。生涯発達・生涯教育心理学コースとコラボレーションしており、臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)、学校心理士(学校心理士認定運営機構)の資格取得を可能にする科目も修得することができます。本コースでは、研究者の育成を目指すとともに、実証的研究の能力を持ちながら、司法・矯正及び更生保護の各現場で活躍できる高度な専門職業人を育成することをめざしています。特に本コースの特徴は、(1)社会心理学、対人行動学、集団力学、犯罪心理学の専門家が、司法・矯正及び更生保護領域に応用できる高度な知識を提供することによって、専門性の高い人材を育成します。また(2)臨床実践のみならず、最新の実証的研究手法を深く学ぶことを通して、各種心理療法の効果測定など、自ら実証的に研究するスキルを修得します。すなわち、本コースでは、臨床実践と実証研究とを両輪として、司法・矯正及び更生保護の場で活躍できる、より高度な専門職業人を育成することをめざしています。

公認心理師カリキュラム

特任助教:

各コース教員とともに学修を支援します。

人工知能・認知科学コース

人工知能・認知科学コースでは、人工知能分野と認知科学分野の両面でカリキュラムを構成する事で、人工知能に関する知識や高い実務能力と、人間の知能や脳の働きに関する深い知識の両面を備え、包括総合的な能力を有する人材を育成することを目指しています。人工知能領域では画像・映像メディア、言語メディア、機械学習・データサイエンスに関わる科目、認知科学領域では人間の思考の分析や身体制御に関わる科目を開設し、情報科学、認知科学に関する知識とスキルを幅広く学びます。

博士後期課程

  1. 心理学における高度な専門的知識を有するだけでなく、心理学の先端的な研究方法と対応スキルを持ち、実践することができる
  2. 幅広い観点から、心理学研究の発展に寄与するような教育研究に携わることができる
  3. 心理学及び関連領域において幅広く貢献する高度心理専門職業人の育成に資する人材の育成に携わることができるなど教育・研究に携わることをめざしている人

各研究部門の主要テーマ

認知・脳科学領域研究部門

歴史的には認知科学や認知神経科学は、主に知の解明をめざして研究が進められてきました。しかし、近年は知・情・意の統合やそれらの身体的行為との相互作用に人間の認知活動の本質を捉えるような、より総合的な観点からの研究が主流になりつつあります。本研究部門においては、このような研究の進歩を背景に人間の持つ高度なコミュニケーション機能に焦点を当て、それらの特性や機能を明らかにし、さらには脳内のメカニズムの解明やその理論化をめざします。またこれらの基本機能の学習による変容過程を解明し、知・情・意の統合の障害を基盤とするさまざまな疾患系の病態メカニズムおよび援助方法への適用法を探ります。

発達心理学・発達支援領域研究部門

従来、人間発達にかかわる研究は、心理学、医学、教育学等の人文社会科学領域で主として担われてきました。しかし、近年では、生物学、認知科学、認知神経科学はもちろんのこと、進化学、工学、環境科学の幅広い分野の新たなパラダイムにかかわって大きな関心がもたれています。総合的な理解のためには学際的な協働が不可欠となっていますが、他方、一人ひとりの個人の全人的な発達への理解を主眼とする臨床発達心理学のアプローチが現実生活のなかでますます重要性を増しています。本研究部門では、社会の中で人間関係を育みつつ生きる個人の心の育ちに関わるテーマを多角的にとりあげ、その実相を科学的実証研究によって解明することをめざし、発達支援の科学的基礎の解明と諸成果の実践への適用法を探ります。

社会心理学・集団力学領域研究部門

本研究領域ではこれまで主に、個人の行動と社会環境との関係に焦点を当て、個人対個人、個人対集団、集団対集団の相互影響過程についての研究が行われてきました。しかし近年は、一方で人間行動の非意識的なメカニズムに対する関心の高まり、神経科学領域との連携、身体化された知覚研究の隆盛などの影響を受け、個人のマイクロレベルの反応と対人関係や集団行動との関連の検討が進んでいます。また他方では、文化心理学や行動経済学、社会関係資本論などの枠組みを取り入れることで、よりマクロな諸側面との関連への関心も同時に高まっています。本研究部門においては、このような研究パラダイムの転換を踏まえ、人と社会の間の重層的な影響過程の解明と包括的な理論化を志向した教育研究に取り組みます。

Q&A

Q.新しい博士後期課程の特色を教えてください

A.最新・最先端の心理学を学び、創造するための開設です。

「認知・脳科学領域」「発達心理学・発達支援領域」「社会心理学・集団力学領域」という3つの領域において、高度な専門性を築き上げる徹底した研究指導を行います。そして同時に、従来的な心理学研究の枠組みを越えた柔軟なアプローチを行い、複雑性を増す現代社会における心理学の専門家への多様なニーズに応えうる人材の育成をめざします。

具体的には、1年次に各自が追究する専門領域を3つの中から選択し、主となる指導教員のもとで研究を行うとともに、2年次以降からは他の領域の科目を履修し、複数教員からの指導を受けながら領域横断的な研究へと発展させ、さらに学際的な研究成果の創造へと向かう心理学の新しい研究フィールドを開拓していきたいと考えています。

Q.どんな先生が指導にあたるのですか?

A.新しい心理学の展開を担う若手を含め、
第一級の研究者を教員に迎えます。

それぞれの研究分野において、先駆的な業績をあげてきた第一級の研究者が教育にあたります。全員が博士の学位(文学、学術、人間科学、教育学、社会学、医学)を取得しており、大学院での高度な研究・教育においても経験豊かな教員ばかりです。私自身、長年にわたって京都大学大学院の心理学研究室、ならびに生体・認知情報論研究室で学生の指導にあたってきました。
新しく開設する心理学研究科博士後期課程は、教員スタッフの充実度において関西トップレベルにあると考えています。

Q.他大学の大学院からの進学を考えているのですが…。

A.本学・他大学を問わず、
学ぶ意欲のある学生を求めています。

追手門学院大学の大学院にも、心理学研究科の博士前期課程がありますが、他の大学院からの進学者も積極的に受け入れていきます。
先ほど述べた通り、新しい博士後期課程の大きな教育目標は、既存の心理学の枠を越えた新しい領域横断的・学際的な新しい学術研究の創造です。ですから、研究科の入試においても大きく門戸を広げ、多様な関心分野、研究テーマ、そして個性をもった学生に集まっていただきたいと考えています。

Q.博士後期課程修了後には、
どのような進路がひらけていますか?

A.大学や公的研究機関、企業の研究所、
医療・教育・司法分野の専門職へ。

いわゆる「大学教員」をはじめとする心理学の研究者のほか、多岐にわたる分野に進路がひらけています。とりわけ近年では、一般企業の研究所や商品開発の部署などで心理学の専門家が求められています。
また、従来から心理学の専門知識が活かせる主要な職域であった医療・教育・司法の分野では、より高度な心理学の知識で問題を解決できる人材が求められています。なかでも医療現場では、医師や看護師とのチーム医療に携われる人材が求められており、今後有望な分野であると言えるでしょう。