数学は、コミュニケーションで発展する学問

数学をいかに活用するかを
研究する
応用数学と異なり、
数学の定理や理論を純粋に究めるのが
純粋数学。
純粋数学を追究し、
微分方程式をテーマにする
反田美香先生に
研究のお話をうかがいます。

Mika Tanda

講師 反田 美香先生

関連リンク:
研究者総覧(教員データベース)

古典的な微分方程式の研究に新たな発見を導きたい

微分方程式について研究しています。微分方程式は自然現象のモデルを数学で表現するときによく利用され、物体の運動など物理学との関わりも深い分野です。私は、その中でも古くからさまざまな研究がされている超幾何微分方程式について、完全WKB解析の立場から研究し、数学の古典的な方程式について新たな発見を導きたいと取り組んでいます。この研究の簡単な活用例は超幾何微分方程式の解を使って表現できる車が道路を走るときの平均速度。完全WKB解析は大きなパラメータを含む微分方程式の解を扱うため、上記の解との関係により、無限に車を増やし、道路を長くしたとき、その平均速度がどうなるのかを明らかにできると予想します。純粋数学の分野である私の研究も、安全でスムーズな道路の整備や渋滞予測など、その成果が世の中で活用できる可能性を秘めています。

数学は、
みんなで学び合う学問

数学の勉強って一人で孤独なイメージがありますが、実はみんなで学び合う学問なんです。私の研究は解析学ですが、幾何学と関係があるということが研究者同士の議論により明らかになりました。人の話が新たな発見につながり、人に説明することによって理解が深まる、コミュニケーションによって発展させていくのが数学です。
「女性だから数学は向いてない」と思う人もいるかもしれません。しかし、AIやデータサイエンスが注目される今、ダイバーシティの観点からも数学的思考ができる女性を採用したい企業は増えていると感じます。私自身、大学院の博士課程に進学時は周囲の反対もありましたが、諦めなかったからこそ、現在があります。ぜひ、数学が好きという気持ちを、そして、自分のやりたい学びを追究してください。

Q&A 反田先生に質問!

数学の研究者を目指した理由は?

人類のまだ誰も気づいてない発見ができるから

数学教員を目指して大学へ進学しましたが、みんなで議論しながら数学を学ぶのが楽しく、素晴らしい先生との出会いやサポートもあり、どんどん数学に夢中になりました。また、昔から研究されている分野ですら、人類でまだ誰も気づいていない発見ができる可能性があり、研究職はおもしろいなと感じたからです。

研究以外で興味があることは?

パズル。プライベートでも何か解いている

小さい頃からパズルが好きでした。去年は休みの日を使って、2,000ピースのパズルに挑戦しました。リアル脱出ゲームに行くこともあり、プライベートでも常に何かを解いています。また、大学ではバスケットボール、大学院ではフットサルをしていた経験があり、アクティブな一面もあります。

最後に受験生にメッセージを

なぜこの式があるんだろうと疑問を持つこと

今も私の記憶に残っているのが、大学1年生の授業で「高校までの微分積分は忘れてください」と先生に言われたこと。大学の数学は、定義や定理に従って正解を導き出すことに満足するのではなく、その道筋や理由を学びます。なぜこの式があるんだろうと、疑問を持つことを大切にしてほしいと思います。