ロボットは憧れではなく、人を助ける機械

乗り物の制御技術を探究するとともに、
人に役立つロボット研究が専門の
土井正好先生。
先生の研究はもちろん、
現代社会が求める
ロボットづくりについても
お話をうかがいます。

Masayoshi Doi

教授 土井 正好先生

関連リンク:
研究者総覧(教員データベース)

異色の経歴から
陸海空の乗り物を
研究テーマに

航空自衛隊や船の機関士として働いていた私は、研究者として異色の経歴を持ちます。その影響もあり、陸海空の乗り物をテーマにしています。研究のひとつが、iPhone®︎に搭載されているジャイロセンサを使って目的地への運転を誘導するアプリの設計。カメラの手ぶれ補正などでよく使われるジャイロセンサは、加速度を測定し、ズレを感知できることが特色です。目的地にどう向かうかを把握する方法としてはGPSが一般的ですが、ジャイロセンサでズレを感知し、そのズレを修正する方法なら山林など電波がない場所でも利用できます。
また、この研究を水中ドローンへ応用すれば、養殖業などにも役立ちます。海中でドローンのカメラを使って生育状況を観察するのは、海流や潮流に流されてしまうため、至難の技。しかし、ジャイロセンサを使えば、常に元の位置に戻り、水中でじっと止まる制御を行えるので、定点観測が可能となります。

社会や人々の悩みに
応える力が
ロボットづくりには不可欠

もうひとつ注力しているのが、ダイレクトティーチングという方式の産業用ロボットの研究。プログラミングが不要で、直接手でロボットを動かして動作を覚えさせることができ、資金も開発時間もない小さな企業でも導入しやすいのがメリットです。ロボットというと、多くの人がイメージするのは全自動のヒューマノイドロボット。
でも、例えば、車いすを押す全自動ロボットがつくれたとしても、高齢者は喜ばないでしょう。ロボットとは超人的な憧れの存在ではなく、人間を助ける便利で実用的な機械にすぎません。また、技術は複雑にするほど、故障も多く、使いにくくなります。単純な技術でどこまで便利にできるかが、開発者の腕の見せどころ。そのうえで人々の心理や欲求などをとらえるセンスも求められるのが、ロボットづくりのおもしろさです。かゆいところに手が届く、社会や人々の悩みに応える力が不可欠なのです。

Q&A 土井先生に質問!

研究以外で興味があることは?

スポーツから音楽、アウトドアまで興味の幅は広いが

学生時代は中長距離の陸上選手、働きはじめてからは吹奏楽団でトランペットを吹いていました。家族旅行の延長で、ペットも一緒に連れていきたいとキャンピングカーも購入しましたが、今ではどれも継続できていません。研究以外、なかなか趣味が続かないんです。

先生の研究のモットーは?

日が暮れたら早く帰ろう

理系の研究室というと、夜遅くまで実験に取り組むイメージがありますが、私は嫌いなんです。集中して研究して、終われば早くに帰る研究スタイルが、スマートでかっこいい。その方が研究のクオリティも断然上がると思います。

最後に受験生にメッセージを

経過はともかく、目的地に確実にたどり着く

人々に役立つクリエイティブな研究をしよう

私の研究は、世の中の人々に役立つクリエイティブ。夢がある研究室を一緒につくっていきましょう。また、私自身が公務員試験を受けた経験から、機械工学系の試験対策の参考書を執筆し、これまでの研究室でも公務員試験対策を行ってきました。現在、多くの教え子が技術職の公務員として活躍しています。