今までになかった無線通信システムの可能性を探る

日本文化に魅かれて
日本の大学院へ進学し、
現在研究者として活躍される
遅蘇琳先生。
無線通信における信号処理を
テーマにした先生の研究について
お話をうかがいます。

Chi Sulin

助教 遅 蘇琳先生

※仮称・2025年4月開設に向け認可申請中
(学部・学科名・教員・職位等、記載内容は変更になる場合があります)

無線センサーネットワークの
新たな活用システムを提案する研究

無線センサーネットワークシステムは、小型のセンサー端末が周囲の環境を検知し、データを収集したうえで、信号処理技術と組み合わせて、そのデータを復元するシステム。例えば、防犯システムや環境モニタリングなど、住まい、店舗や工場などで幅広く利用されています。小さく、どこにでも置けて、工事の費用や手間も軽減できるこのシステムをもっと有効活用できないかと、私が着目したのがデータ伝送システムとしての利用。
従来のようにセンサー端末がある空間だけで使うのではなく、例えば、ドローンにより空から撮影したデータを、この無線センサーネットワークを経由して農家に伝送できれば、病害の発生や収穫時のタイミングを、畑に行かなくても確認できます。ただし、システムを実現可能にするポイントのひとつが、伝送されたデータのブラインド等化での処理。大量データをスピーディに完全に復元することが不可欠で、現在研究に取り組んでいます。

アニメがきっかけで
日本の大学院に進学後、
研究者へ

国内で初めてとなるこの研究は、システムが実現すれば、広いエリアでのデータ収集・処理が瞬時に可能となり、農業はもちろん、林業、公園や鉄道の管理など幅広く利用できます。これからの通信のテーマは、「人がいる場所」から「人がいない場所」へ、海や森林、その先には宇宙まで、通信の領域はますます広がっています。
私の研究は無線通信、その中でも信号処理ですが、最初から研究者になろうと思っていたわけではありません。中国・山東省の出身で、日本のアニメが好きすぎて、大学院も日本へ進学。TA(ティーチングアシスタント)として大学生をサポートしているとき、学生の疑問や質問から逆に新しい気づきや発想をもらえるのが楽しく、研究者の道へ進みました。新たな理工学部でも、教員も学生も関係なく、活発な議論をしながら、従来の考えや方法に縛られない学びを展開したいと思います。

Q&A 遅先生に質問!

先生の研究おもしろさや魅力は?

学んだ数学が役立っている実感がある

電話できれいな音声が聞こえるのは、数学のおかげです。通信を学んでうれしかったのが、これまで長年勉強してきた数学を実際に使っている実感があること。生活の中で数学の技術を使うことなんてあまりないと思います。また、信号処理を学ぶと、AI分野にも応用しやすいのでおすすめです。

研究以外で興味があることは?

日本文化。アニメはもちろん日本食が好き

日本文化に興味があります。幼少期から日本のアニメを見て育ちました。好きなアニメは『SPY×FAMILY®︎』『鬼滅の刃®︎』『呪術廻戦®︎』と、数えきれないです。しゃぶしゃぶ、焼肉、天ぷら、ラーメンと日本食も大好きで、自分で和食をつくるほど、日本の食生活を満喫しています。ちなみに中国にはエビチリはなくて、日本で生まれた中国風料理なんです。

最後に受験生にメッセージを

将来や仕事にもつながる大学の時間を大切に

高校まではみんな一生懸命勉強するのに、大学に入学した時点で次の目標が見えなくなるのか、あまり勉強しなくなってしまうのはもったいないと思います。大学生活こそ、将来や仕事につながる大切な時間です。自分が「やってみたい」と思ったテーマに存分にチャレンジしてほしいと思います。

※仮称・2025年4月開設に向け認可申請中(学部・学科名・教員・職位等、記載内容は変更になる場合があります)