アルゴリズムの開発と活用による社会問題の解決

Kazuaki Yamaguchi

山口 一章教授、博士(工学)

データ構造、アルゴリズム、計算機科学

情報工学科

研究の概要

私たちの日常は、最適な交通ルートを見つけたり、エネルギーを節約する方法を決定したりと、解決すべき「パズル」で溢れています。これらの問題の多くは、点と線で表現される「グラフ」という関係図で表現することができます。私の研究は、これらのグラフを用いた問題を迅速に解くアルゴリズムの開発に焦点を当てています。

研究の目標は、数理計画ソルバと呼ばれるソフトウェアよりも計算時間が短い解法を開発することです。これまでの研究成果の中には、市販の高価なソフトウェアよりも遥かに速い解法も含まれます。

近年、生成系AIを活用する研究が活発に行われております。また、オープンソースの数理計画ソルバの一つである SCIP が2023年に完全無料化されるという大きな動きがありました。それらの動向を踏まえ、最近は SCIP と LLM を活用したアルゴリズム開発の研究も進めています。

研究成果の社会での実装、活用シーン

製造プロセスのスケジューリングや資源の割り当ての最適化により生産性を高めることができます。また、病院のリソース配分や患者の予約スケジュールの最適化により医療サービスの質を向上させられます。交通渋滞を減少させるための信号機のタイミングの調整や、公共交通のルートとスケジュールの最適化に役立ちます。その他の活用例としては、資源配分や配置の最適化、物流の配送計画、在庫管理、投資ポートフォリオ、コード生成の効率化などが挙げられます。

高校生へのメッセージ

アルゴリズムは計算機科学の核心であり、基本情報技術者試験などの資格試験でもその理解は不可欠です。また、実世界においても、製造、医療、交通、物流、製造、金融など、アルゴリズムが活躍する場面は多岐にわたります。ソフトウェア開発そのものもアルゴリズムによる効率化が期待されています。私の授業では、アルゴリズムの基礎から応用までを深く学ぶことができます。これにより、未来を切り開く力を身につけ、社会に貢献する技術者としての基盤を築くことができます。