持続可能な社会を支えるフュージョンエネルギーの実現に向けて
※2025年4月開設
電気電子工学科※
研究の概要
フュージョンエネルギー(核融合エネルギー)は、発電時に二酸化炭素を放出しない次世代エネルギーです。エネルギー発生のためには、超高温のプラズマ(原子が、イオンと電子に分かれて自由に飛び回っている状態)を生成して、それを真空容器内に閉じ込めることが必要です。なお、我々が毎日恩恵を受けている太陽もプラズマです。研究では、真空容器内壁のプラズマと接触する部分に使われる耐熱材料を取り上げ、プラズマ発生装置を用いて、プラズマと壁が接触したときにおこる現象を調べます。研究の対象となる主な材料は、融点が高く、高い熱が流入しても簡単に溶融しないタングステンという金属です。この成果は、フュージョンエネルギーの国際協力プロジェクトITER(イーター)(フランスで建設中)などの装置設計に貢献しています。
-
プラズマ照射実験の様子
-
国際協力プロジェクト(ITER)
研究成果の社会での実装、活用シーン
フュージョンエネルギーはまだ研究段階であり、実用化までは20年~30年かかると考えられています。ただ、そこで使われている技術は社会の様々な場所で役立っています。例えば、プラズマ技術は、半導体デバイス製造、表面コーティング、あるいはダイヤモンド合成などで重要なツールです。また、超電導コイル技術(プラズマの閉じ込めに使用)は強い磁場を発生させるために有用で、プラズマを加熱するためのイオンビーム技術は、半導体デバイス製造や先進医療の世界で重要です。
高校生へのメッセージ
私の研究の大目標は、フュージョンエネルギーという次世代のエネルギーを実現することですが、それに向けてプラズマを使った研究を行っています。専用の実験装置でプラズマを作り、その発光を調べるなどしてプラズマの特性を理解し、さらにそのプラズマを金属などの物質に照射してその影響を調べます。プラズマは最先端の半導体デバイス製作に使用されるなど様々な応用分野があります。一緒にプラズマを体験しませんか。