大域的最適化問題に対する数理的手法とメタヒューリスティック解法の融合

Keiji Tatsumi

巽 啓司教授

情報通信、ソフトコンピューティング

※2025年4月開設

数理・データサイエンス学科

研究の概要

本研究室では、理工学の様々な分野に加え、金融・経済など幅広い領域で必要とされる意思決定・最適化問題の求解法を研究しています。特に、決定すべき変数が連続的であり、局所解が多数ある、困難な大域的最適化問題に対する近似解法を研究対象としています。最適化手法には、厳密に解を求める理論的保証のある数理計画法と、現実的な時間内に簡易な方法で多点探索点を用いて近似解を求めるメタヒューリスティック解法に大別できますが、これら根本的な求解戦略が異なる2つの手法を融合的に用いる枠組みを考案しています。多数の探索点により得られる情報を共有し効率的に求解に役立てる数理的手法として、最小化すべき目的関数の2次導関数を共有情報を用いて近似する多点準ニュートン法を開発しています。同時に、これらの知見を活かした機械学習への適用なども研究対象です。

研究成果の社会での実装、活用シーン

本研究室では、理工学の様々な分野で使用される最適化問題の汎用的求解法を開発しています。近年では、データ利用環境の高度化のため、統括的に全データを集約せずデータを分散させたセキュアな状況で、最適化や機械学習を行うケースが多数あります。本研究での、多点探索における情報共有を考慮した求解法は、このような環境下での人工知能の機械学習の連合学習やドローン制御に使用するマルチエージェントの分散最適化に適用することができます。

高校生へのメッセージ

人工知能技術の深化や自動化技術の進展により社会は急速に変わりつつあります。将来、皆さんがこの国の未来を担っていく際に必要となるのは、新しい課題を発見し解決策を見つける能力です。その能力を磨くには、基礎数学や数理科学などの基盤知識を習得し、流行の技術にとらわれない、長期的に役立つ論理的思考を鍛えることです。一緒に学び、未来を切り拓きましょう!