希土類元素を用いた温度センサーの開発
Toshihiro Nonaka
野中 俊宏講師、博士(工学)
電子デバイス、光デバイス、半導体、複合材料
電気電子工学科

研究の概要
温度センサー(温度計)として機能する蛍光体(光る物体)を開発しています。蛍光体の作り方は、希土類元素の粉末を混ぜ合わせて焼き固めるだけです。「温度を計測するだけなら、普通の温度計で良いのでは?」と思われるかもしれませんが、蛍光体を温度センサーとして使用することで多くの利点が生まれます。その利点とは、非接触で温度を計測できること、迅速に温度変化を捉えられること、小さい範囲の温度を計測できることです。また、希土類元素は特殊な電子の配置をしているため、赤外線を当てることで蛍光体を光らせることができます。赤外線は生体を透過するという特徴があるため、蛍光体を生体内部に設置すると生体の外から赤外線を照射するだけで生体内部の温度を計測することが可能となります。

研究成果の社会での実装、活用シーン
赤外線で発光するという特徴を生かして、温度センサー以外にも蛍光体を応用することができます。例えば、太陽電池の高効率化に蛍光体を利用することもできます。化合物半導体などの太陽電池は、太陽光スペクトルの全エネルギーを受け取ることは原理的にできません。本研究で合成した蛍光体を太陽電池の近くに設置するだけで、太陽電池が吸収できなかった赤外線を吸収可能な可視光に変換することができます。蛍光体はエネルギー問題の解決に一役買うのです。
高校生へのメッセージ
高校生の時は「将来、自分自身が何をやりたいか分からない」と思い悩むことがよくあります。しかしながら世の中は厳しいもので、悩んでいる高校生が答えを見つけるまで待ってくれず、無理矢理でも進路の方向性を決めないといけません。そんな時は、今までどのようなことに熱中してきたかが、ヒントになると思います。ゲームでも、部活でもなんでもいいです。今までの興味関心を進路決定の材料にしていきましょう。進路を決めるのは、あなた自身なのです。