未来を支える新しい光ファイバ

Hirokazu Kubota

久保田 寛和教授

光通信、光ファイバ、ネットワーク工学

※2025年4月開設

電気電子工学科

研究の概要

通常の通信用光ファイバは石英ガラスでできています。銅のケーブルに比べると安い上に格段に性能が良いため、1本につなげると40億km以上(地球10万周以上)の長さが使われています。しかし、よく知られているように物質中の光の速度は真空中に比べて屈折率に反比例して遅くなるため、石英の光ファイバ中では真空中の光速の約70%の速度になります。この制限を超えるために光が伝わる部分を空気にした中空光ファイバの研究が行われています。石英の光ファイバは全反射をつかって光がもれないようにしていますが、中空光ファイバの場合は全反射が使えません。そこで透明なのに光を通さないフォトニックバンドギャップを周囲に配置したり、光の干渉を利用したりして光を中空部分に閉じ込める構造が開発されました。私達は数値解析で中空光ファイバが真空中の光速の98%以上で光を伝える高速性をもつことを確認し、現在は通信容量をさらに拡大するための研究を行っています。

中空光ファイバ中を伝わる
光の強さのコンピュータ・シミュレーション

研究成果の社会での実装、活用シーン

Beyond5Gと呼ばれている将来の通信ネットワークでは無線と光通信が融合する形で併用されていきます。信号の伝搬速度の差が小さくなれば、効率的に融合ささせることができ、通信ネットワークの自由度を高めたり高度化をはかったりすることができます。

また、データセンター内の多くのコンピュータを接続するケーブルに使うことでコンピュータ間の連携を高め、演算性能を向上させることができます。

高校生へのメッセージ

みなさんもマンガをスマホで読んだりすると思いますが、情報を運ぶために必要なエネルギーは物を作ったり運んだりするエネルギーに比べて格段に小さく、情報通信は「エコ」な技術なのです。有線と無線は情報通信の両輪で、どちらが欠けても現代社会をささえられなくなります。情報の流通を支える技術に関わることで質の高い省エネ社会を目指してみませんか。