コンピュータの能力を極限まで引き出そう!

Tomonori Kouya

幸谷 智紀教授、博士(理学)

高性能計算、コンピュータネットワーク

数理・データサイエンス学科

研究の概要

現代のコンピュータは、スマートフォンからスーパーコンピュータまで、複数の処理を同時に実行できる「並列処理」の機能を備えています。コンピュータの頭脳に当たるCPUは、複数の命令を一括して実行できるAVX2やSVEをはじめとするSIMD(Single Instruction, Multiple Data)命令が利用できるコアを複数持つマルチコアアーキテクチャが普通ですし、もっと多数のコア(メニーコア)を持つGPUはAI・深層学習では必須のハードウェアです。我々の研究室では、特に多数の桁数の計算を必要とする条件の悪い問題に対応できるよう、現代のコンピュータの並列化特性を生かした「多倍長精度数値計算」の高速化の研究に力を入れるとともに、深層学習の応用方法や、学習成果の再現性を担保するための研究を進めつつあります。

研究成果の社会での実装、活用シーン

基本、全ての研究結果は、使用されたプログラムのソースコードをオープンにすることで社会に還元しており、桁数を増やして計算したい開発現場で利用されているようです。Webで公開している基本演算部分のマニュアルの翻訳などは毎日頻繁に参照されています。あまり人目に付かないところでは、スーパーコンピュータ向けの多倍長精度計算用MPIライブラリ(MPIGMP)は諸外国でも使用されることがあります。

高校生へのメッセージ

すぐには理解できないことを楽しみましょう。日常生活とは異なる数学理論や概念を実感として理解するには時間がかかります。まずは「分からない」という感覚から出発し、友達、先輩、教員との議論や、プログラミングによる実装を通じて、「分からないことが分かるようになった」経験を積み重ねていって下さい。大学生活はそのための重要な「分かるためのプロセス」を体験する重要な時間になります。紋切り型のSNSとは真逆の、少しずつ理解する学問の面白さを味わって下さい。