機械工学の知見と手法を活用した生体と食品の研究

Ren Kadowaki

門脇 廉准教授、博士(工学)

機械力学、バイオメカニクス、設計工学、計測制御

機械工学科

研究の概要

医療、福祉、スポーツ、食品などの分野では、人間にはたらく力や人間が生み出す力によって何がどのように動くかが重要です。また、心との関係も無視できません。これらを解き明かせば、医療やスポーツの有効性を向上したり、食事の満足感を高めたりして生活の質(QOL)の改善に貢献できると期待されます。

そこで、この研究では人間の力や運動の計測、食品の強度の試験、筋電などの生体信号の計測、さらに感性を表す感覚量の調査など、様々なアプローチで形や力や動きの情報を集め、機械工学を使って読み解いていきます。多様な情報を接点として、“機械ではない対象”と機械工学を結び付け、新たな価値を生み出すことを目指しています。

研究成果の社会での実装、活用シーン

食べることは栄養補給であるだけでなく、それ自体が人生における楽しみの一つです。しかし、高齢者や幼児は噛む力が弱く、若者と同じ物を食べても同じように楽しめないことがあります。そこにこの研究を活用すれば、弱い力でも噛むことができ、それでいて噛むことが楽しい食感の食品を開発できるかもしれません。そうなれば、高齢者は再び食べる楽しみを感じられ、幼児はよく噛んで食べる楽しみを学べます。生活の質(QOL)の改善や食育に貢献できそうです。

高校生へのメッセージ

機械工学というと硬くて強いメカの学問をイメージするかもしれません。しかし今、硬くて強いメカの世界で発展した理論や方法を医療や食品に応用したり、逆に生物の優れた仕組みを機械に取り入れたりすることで課題を解決できた例が増えつつあります。機械が好き。でも生き物も好き。そんな欲張りな人だからこそ形にできることがたくさんあります。機械と生物、その両方に好奇心を持っているなら、“機械工学×生物”の世界を一緒に探検しませんか?